じゃがいもを使おうと思って取り出したとき、芽が出ていて困ったことはありませんか?。じゃがいもの芽は毒素があるといわれていますが、芽が出てしまったら食べられないというわけではありません。ただじゃがいもの芽の毒素によって食中毒を起こす危険があるため芽や芽が出た部分をしっかりえぐって取り除くことが大切なのです。ここでは芽が出てしまったじゃがいもの芽の取り方や料理方法、じゃがいもの保存方法について紹介していきます。
そもそもじゃがいもの芽って何?どれのこと?
じゃがいもには芽と目がある
実はじゃがいもには「芽」と「目」があるのです。
「芽」・じゃがいもから出ている芽
「目」・芽が出ていないじゃがいものくぼみ
じゃがいもの目から芽が出ていない場合は芽のような毒はありませんので取り除く必要はありません。
じゃがいものくぼみの深さに注意
じゃがいもは「男爵」「メークイン」がおなじみの品種ですが、最近は「インカのめざめ」「キタアカリ」「キタムラサキ」と肉質や色、食感も豊富です。品種によっては目のくぼみが浅かったり、深かったりします。
くぼみが浅かったら皮をむくだけ良いですが、深い場合は汚れがたまっていることがありますので軽く取り除く、など品種によって調理法を変えると良いでしょう。
赤い芽と赤い目の正体
赤い芽は毒素を含んでいますので食べてはいけませんが、赤い目は取り除く必要はありません。何故なら目の部分が赤い品種もあり、芽が出ていない「赤い目」のじゃがいもは美味しいじゃがいもだよ!と自己アピールしている証拠なのです。
じゃがいもの芽はどこまで取るべき?
包丁の角やピーラーで取る
じゃがいもの芽や皮にはソラニンやチャコニンという天然毒素が多く含まれています。芽は手で取ることもできますが、根元は包丁の角でえぐるように取ると良いでしょう。
ピーラーの凹み部分でも可能です。どれくらい取るか、というと決まりはありませんが、目安として周囲2㍉、深さ5㍉ほどで良いと思います。
緑色の部分はすべて取り除く
太陽の光などが当たって皮が緑色になったじゃがいもにもソラニンやチャコニンが含まれています。皮と一緒に変色したところは全部取りましょう。家庭内の蛍光灯などの光が当たっても変色しますので注意が必要です。
じゃがいもの芽はどれくらいで出てくる!?
芽は日数よりも温度が関係
じゃがいもは購入してすぐに芽が出てしまうということはありません。数ヶ月間はじゃがいもの休眠期間といって芽が出ない期間があります。おおよそ2ヶ月~3ヶ月といわれます。ただ、はっきり言って日数はそれほど関係ありません。問題は温度なのです。じゃがいもは暖かくなると芽が出やすいのです。
気温15℃超では保存に注意
どれくらいの温度で?、というと18~20℃ぐらい。常温で15℃を超えるようになったら発芽しないように保存する環境を考えることが大切です。
じゃがいもの芽は身近なもの?
ウェザーニュースで「ジャガイモに芽が出たことがありますか?」というアンケート調査を行ったところ、「しょっちゅう、ある」が30%、「たまに」が59%となり、約9割の人が「芽出し」の経験があることが分かりました。 (5月15〜16日実施、8280人回答)。
ジャガイモは保存場所が発芽に適した温度になると、どんどん芽を出してしまう野菜です。
そこで、さらに「ジャガイモはどこで保存していますか?」というアンケート調査も行いました。 (5月13〜14日実施、8531人回答)。
室内で常温保存している人が過半数アンケートの結果は、「常温で室内」が56%、続いて「冷蔵庫(野菜室)」が約30%となっています。エリア別に詳しく見ると、北海道や沖縄では「冷蔵庫(野菜室)」の割合が他のエリアに比べて高くなっていました。気温が上がると芽が出やすくなるので、沖縄で冷蔵庫(野菜室)の割合が高いのは納得ですね。
https://weathernews.jp/s/topics/201905/210125/
しかし、北海道でも冷蔵庫に入れる人が多いのは意外です。アンケートに寄せられたコメントを見ると、「冬場は常温でもジャガイモが凍ることがあり温度管理が大変だから」という北国ならではの理由もあるようです。
10℃くらいの環境で保存する
ある意味、じゃがいもの芽は身近な存在なのかもしれませんね。
保存方法としてはかごや通気性を考慮した穴をあけたポリ袋などに入れて、暗くて、涼しくて通気性が良いところが最適です。10℃くらいの場所が好ましいです。
じゃがいもの芽を食べてしまったらどうなるの?
ソラニンやチャコニンで食中毒を起こす
天然毒素のソラニンやチャコニンを多く含むじゃがいもを食べてしまうと吐き気や頭痛、腹痛が起き、おう吐や下痢などを引き起こします。じゃがいもを食べたあとこんな症状がでたらすぐ病院へ行きましょう。
緑色の部分には13倍の毒素
ソラニンやチャコニンはじゃがいもの可食部分で100g当たり平均7.5㎎(0.0075g)含んでいます。ほとんどが芽や皮の部分にありますが、これが緑色などに変色した部分だと100g当たり100㎎(0.1g)以上にもなります。何と通常のじゃがいもの13倍強の毒素があるのです。
食後30分~半日で症状が出ます
ソラニンやチャコニンによる食中毒の症状は食後30分~半日で現れます。体重50㎏の人が50㎎(0.05g)摂取すると食中毒の症状が現れ、150~300㎎(0.15~0.3g)だと死に至る可能性があります。
特に子供は身体が小さく、体重も少ないので少量の毒素で中毒の症状が出ることがあります。大人が注意してあげてください。
じゃがいもによる食中毒を防ぐためには?
学校や家庭で作ったじゃがいもの注意点
一般的に市販されているじゃがいもの毒素は低く保たれていますが、学校や家庭で作られたじゃがいもを食べて食中毒を起こしてしまうことがあります。
その理由として考えられることは
・土の中でも浅いところでは太陽の光が届いてしまい変色してしまうことがある。
・掘り出したばかりの新鮮なじゃがいもでも小さいものも収穫した。
小ぶりで未熟なじゃがいもは食べない
緑色などに変色したじゃがいもに毒素があることは先にも述べましたが、小ぶりで未熟なじゃがいもは変色していなくても毒素の濃度が高い場合があります。大きく育った熟したじゃがいもを収穫して食べるようにしましょう。
芽が出たじゃがいもを保存する場合
皮がなめらか、適度な硬さが良品
スーパーなどで売られているじゃがいもはそんなに心配はないと思われますが、芽が出ていたり、緑色の部分があるじゃがいもは買わないようにしましょう。皮がなめらかで適度な硬さと重量感があるじゃがいもが良品のじゃがいもです。家庭内での長期保存を避けるためにもその都度必要な量を買うのが賢明です。
芽が出たら早めに取り除く
芽が出てしまった場合はそのまま保存するのではなく、劣化の初期と考えて早めに食べるか芽を取り除くなどの処理をしてから適切に保存するのが望ましいです。
りんごのエチレンガスが発芽を抑制
じゃがいもを長期保存するとき、りんごを入れておくのも一つの方法です。というのは、りんごが発生するエチレンガスがじゃがいもの発芽を抑えるからです。りんごも長期保存するとしなびてきますので適宜交換して食べると良いでしょう。
じゃがいもと一緒にりんごも入ったカレーなど作ってはいかがでしょう。
芽が出てしまったじゃがいもの調理法
コロッケやフライドポテト等で大量消費
芽が出てしまったじゃがいもを使ってコロッケやポテトサラダ、ジャーマンポテトやフライドポテトを作ってみてはいかがでしょう。コロッケやポテトサラダは食卓の一品のほかお弁当にも入れられます。またジャーマンポテトやフライドポテトはおやつやおつまみにもなりますので大量に作っても余すことはありません。
品種によって作る料理を変える
じゃがいもは品種によって特性が違います。ホクホク系のじゃがいもはコロッケや粉ふきいもなどに、ねっとり系は煮込み料理やサラダに、と肉質、食感によって作る料理を変えると良いでしょう。
冷蔵保存後は茹でるなどで調理
冷蔵庫で保存していたじゃがいもは炒めたり、焼いたり、揚げたりするのはNGです。何故なら高温で加熱調理した場合、発がん性をもつアクリルアミドを多く生成してしまうのです。アクリルアミドの生成を抑える調理法としてはゆでる、煮る、蒸す等が挙げられます。
じゃがいもは世界四大作物のひとつ
炭水化物やビタミンCが豊富
じゃがいもは米、麦、とうもろこしに次いで食されている作物で、世界四大作物の一つです。人間が活動するのに必要なエネルギーを作り出す炭水化物や抗酸化作用のあるビタミンCが豊富です。他にもカリウムやGABAが含まれていて塩分を輩出したり、ストレスを軽減させるなどの効果があります。
「ジャガタラ」から来たので「じゃがいも」
原産地は南米のアンデス高地。19世紀の初めごろにはヨーロッパで広く栽培されるようになりました。日本へは江戸時代に入ってきました。じゃがいもを運んできた船がジャガタラ(今のジャカルタ)からきたことから「じゃがいも」と呼ばれるようになったのです。
まとめ
芽が出てしまったじゃがいもは食べられるか、をテーマに紹介してきました。芽や芽の周辺をしっかり取り除く。また緑色に変色した部分もしっかり取り除くことが大切です。もちろん買ったらすぐ食べるのが何よりも大切です。
発芽を防ぐには時間よりも温度が肝心です。そのため通気性の良い容器に入れて涼しい場所で保存するのが望ましいです。またりんごを一緒に入れても効果が期待できます。
世界中の老若男女に愛されている「じゃがいも」、正しく保存、調理をして美味しく食べましょう。
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